Kan-Kan の雑記帳


2002年5月30日

もっと京都

 七条、国立博物館の「建仁寺」。これってやはり「建仁寺展」とすべきでしょう。まちがって、四条のお寺の方に行く人がけっこういたみたい。実際、同行した友人もそう思っていたらしく、京阪の乗り場で、ちょっとした行き違いがありました。

 展示はさすが、京都一の古い禅寺だけあって、ものすごい量。話題の「風神・雷神」の前はさすがにいっぱい。改めて見ると、不思議な魅力のある絵ですね。屏風、襖絵はじめ大作が多く、それもどれも金箔や銀箔をたっぷり使ってある。大味な作品もあり、失礼ながら玉石混交という風情も感じないではないけれど・・・。

 展覧会は作品の持つパワーに押されて、とかく疲れます。歩きつかれて、祇園に引き返し、いつもの店で飲みすぎて、2人とも正体不明になってしまったらしい。

2002年5月29日

 通勤に使う近鉄バスはいつも面白い。まず、運手席の前に、当日の運転手からのメッセージがある。「安全運転を心がけます」といったありきたりのものから、「ゴルフを始めました、100を切ることを目指しています」といった個人的なものまであって、いつも楽しみ。昨日は「運転は下手ですが、一所懸命やります」。オイオイ、一所懸命でなくていいからうまくやってねとつっこみを入れたくなる。

 毎日、微妙に乗る時間をずらして、いろんな客を見るようにしています。先日、うしろから、ああ、長生きをしすぎたなあ、という大きなため息。どんな人かなと好奇心を感じたけれど、ガマンして振り向かなかった。2,3日前、後ろの席から見ていたら、同じような声で独り言を言っていた人がいて、これがどう見ても30代の人。思わず笑ってしまった。

 バスもまた、人生の縮図ですね。

2002年5月28日

映画「海は見ていた」

 久々、試写会の券が当たりました。嫁ハンと肥後橋のリサイタルホールへ。黒澤明の残した脚本、原作は山本周五郎、監督は熊井啓、主演は清水美砂(些細なことですが、私の四国の父方の遠縁らしい)、遠野凪子(「すずらん」のヒロインですね)、永瀬正敏といえば、期待してしまいます。ホールは満席。

 ところが、映画そのものは、すべて空回り。江戸、下町、岡場所の人間ドラマが胸に迫ってこない。俳優はみな力演なのに・・・。基本的に脚本の練り直しが不十分なのでしょう。黒澤の亡霊に縛られてはいけません。この映画のために、映画館に足を運ぶ必要はないとみました。

2002年5月20日

ゆく人来る人
柳家小さん

 いい顔をしてはりました。人間国宝になっても、偉ぶらず、笑顔は庶民の顔でした。剣道をたしなむ厳しい顔、高座での百面相。
 落語に精進する人に、落語協会会長職は気の毒でした。造反にも会い、政治力のなさをとやかく言われましたが、落語家に政治力はいりません。今頃ほっとしてはるでしょう。

高橋圭三

 子供の頃のテレビの顔でした。NHK紅白歌合戦、私の秘密、歌の広場、後のレコード大賞・・・華やかでキレのいい司会振りでした。政治家歴も含めて、宮田輝さんと比較されますが、常に一歩先んじる才気でこちらが優っていました。いいライバルだったのでしょうか。晩年、声が出なかったというのが気の毒です。入院中、面会に来てくれるなと友人たちに言っていたそうで、それもわかる気がします。
ダトリー・ムーア

 ミュージシャン、俳優。才気に溢れ、粋で、ダンディで。10年近く前のアカデミー賞、授賞式で、ライザ・ミネリと組んで主題歌賞を発表したときのピアノに弾き語りの鮮やかさは忘れられません。わざと派手に演奏して、ライザが顔をしかめたり、息の合った見事なミニショウーでした。まだ60代だったのは残念です。


百武さん

 しろうと天体観測家が、彗星の発見に取り付かれ、職を捨て、住まいを変え、嫁ハンに養ってもらいつつ、次々新星発見。えらい人や(嫁ハンも)。彼の発見した彗星が帰ってくる70万年後に人類は存在しているでしょうか(いないやろな)。

2002年5月16日

☆もっと京都  葵祭り

 5月15日、朝10時過ぎ、空模様を気にしながら、京都御所へ。堺町御門の周辺はすごい人だかり。10時半、平安騎馬隊(フランス風軍服だが、これも狩衣で乗ってほしかった)の先導で行列が御所から出てくる。いつもながらに、平安絵巻そのものの衣装がすばらしい。色の配色がなんともいえない。斎王の十二単の裳がたっぷり垂れる。馬上の青年貴族も、牛車(ぎっしゃ)を引く稚児の頭にも、葵の緑の葉が揺れる。そして牛車の軒には藤の花。

 ゆるゆると進む行列が通り過ぎるまで1時間。警備のガードマンと、カメラを抱えた見物客のいざこざも、源氏物語の「車争い」を彷彿とさせて、楽しめる。ほんとは午後からの加茂川堤の行列を見たかったのですが、雨模様なので午前にしたのです。正解でした。降り始めた雨に追われるように、三条に向かって走り、蕎麦屋に飛び込む。京は蕎麦がおいしいのです。

2002年5月13日

ゴーゴーバッファローズ

 首位西武を大阪ドームで迎え撃ち、それも相手が6連勝中の松坂とくれば、応援に行かないわけには行きまへん。こちらは前川。1回表ににいきなり松井に3塁打を浴びて1点を失う。でも、その裏、中村紀洋が松坂の直球を右中間に逆転ホームラン。満員の外野席(サラリーマンデーで500円。ファンクラブ会員は無料)は大騒ぎ。

 息詰まる投手戦にけりをつけたのはまたまた、紀洋。6回に今度はバックスクリーン上段に特大のアーチ。打った瞬間、ニコッと笑って、ゆっくり歩き出す。超一流の才能のぶつかり合いが火花を散らした、名勝負でした。これだから、ボールゲーム通いは止められない。

2002年5月11日

 躑躅(ツツジ)の季節が過ぎてゆきます。坂東玉三郎の監督映画「外科室」を思い出します。あえて、桜でなくツツジの庭での主人公達(吉永小百合と加藤雅也)の出会いが美しいカメラで捉えられていました。燃えるような花の咲き具合がドラマにマッチしていました。舞台は小石川の六義園だったと思います。

最近読んだ本

「ハリーポッター・秘密の部屋」
「ハリーポッター・アズカバンの囚人」

 やはり、評判通り、第3作「・・囚人」の方が面白かったです。いつものようにきちんと伏線を敷いておいて、最後にきれいな「どんでんがえし」がある。タイトルがうまく生かされている。宿敵を登場させず、ほのめかすやり方も、かえってサスペンスを盛り上げる。

 映画も第2作が着々と。原作は第4作の発売が待たれます。

「海霧」(かいむ)  加賀乙彦

 北海道、道東を舞台にした、愛と蘇生のロマンというコピーに惹かれて読んだけど、イマイチでした。

 なにより登場人物に魅力が欠ける。失恋が原因で東京の病院を辞めた心理療法士のヒロインが、道東の精神病院に赴任して、さまざまな出会いがあり・・・という展開はいいのですが、最初は魅力的に登場する男たちの息が続かない。個性的な病院経営をする院長は、底の浅いギャンブル狂だし、泳げないことを強調する、ヒロインが心を寄せる漁師の青年は、最後に溺れて死ぬだろうと先が読める。ヒロインは優柔不断だし・・・と悪口を書きつらねてしまいましたが、精神病院の仕組みや、道東の厳しい自然は描かれていて、これでガマンしといたるというところです。加賀さん、ゴメン。

「寄り添って老後」  沢村 貞子

 脇役の名女優というより、名エッセイストとしても記憶に残るでしょう。社会を、人生を、そして老いを、シビアにかつ暖かく見つめた文章の数々。老化を自覚して71歳ですっぱり女優業の足を洗い、子供のない老夫婦は住み慣れた東京を離れて、伊豆のマンション移り住み、海を見つつ暮らす。

 淡々と死に向かう、覚悟と準備と。背筋が伸びていて、潔い生き方。経済的余裕があるからといえばそれまでだけど、無駄を省き、質素にして、使うべきところには惜しまないというのは、言葉にする以上に難しいものでしょう。
 

2002年5月2日

美しい5月、自然を満喫したいものですが・・・なかなか。

連休後半はどこも混みそうですね。

某日、近くの公民館で落語を聞く。

若手が定期的に行っているもので、勉強会的要素が強く

したがって料金も安く、贔屓にしているのですが

今回は中堅(あえて名を秘す)を招いて、ちょっとグレードアップ。

ところが演目がよいない。

いわゆる醜女(しこめ)ものなのですが、こういう笑いの取り方が

もう、時代に合わなくなっていることに気づいていない。

熱演すればするほど、嫁ハンはじめ女性客は特に引いて行く。

後味の悪い思いで帰りました。

帰って、フィギアスケートの2002年世界選手権、アイスダンスをテレビで見る。

お蝶夫人をモチーフにしたものがあったのですが

これが全くの中国風。音楽も衣装もポーズも・・・。

長野の客も引いていました。

思い込みというものは抜き去りがたいものなのですね。

自分の中にもそれがないか・・・自戒したことでした。




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