2003年6月15日
行く人来る人
グレゴリー・ペックさん
アメリカの名優がまたひとり去って行きました。でも、彼は今、まさに消えつつある(?)アメリカのリベラリズムを体現したような俳優であったので、その点、今回の彼の死は象徴的でもあります。「ローマの休日」の新聞記者もよかったけど(姉が熱を上げていました)、「アラバマ物語」の弁護士がベストと言われます。「白い恐怖」の医者もよかったなあ。ジョン・ウエインやチャールトン・ヘストンのようなタカ派でなく、ニクソン時代にブラックリストに載ったほどの誠実な平和主義者であったところが、広く敬愛された所以でもあるのでしょう。悪役をやらなかった、やれなかった(「白鯨」のエイハブ船長も無理があった)けど、立派な俳優でスターで良心的アメリカ市民(もう死語かも)でした。奥さんに看取られて自宅で老衰による死というのも、彼らしい。
こんな夢を見た
休日の午後、テニスで疲れて帰って、ビールを飲んでそのまま眠ってしまった。
どこかの地方都市に来ている。スーツを着た自分。道路は広く、明るい街並み。その4つ角にある1階から3階にデパートが入った総合ビルが用務先のよう。デパートの専門店街の中華料理店で腹ごしらえをして、上階の会場へ。広いイベント会場のような部屋の、入り口から階段状に資料を並べていって、その一番上の壇上でひとり5分の持ち時間で、説明して、その内容に買い手がつくというシステムらしい。順番が回ってきて、私は古典作品の新しい解釈をひとしきりしゃべって、質疑応答して(中身は全然おぼえていない・・・何だったんだろう?)会場を出て、ビルの横手の商店街に入る。鸚鵡を売っている鳥屋、食堂、電気屋・・・店の人がそれぞれ顔を見て挨拶してくれる。味見をしてくれと2種類のアイスクリームを差し出すおばさん。ちらっと覗いた店の中にいて、目があったきれいな奥さん。この人も見覚えある・・・。
そこで目が覚めた。しばらく考えて、あれは、あの人はずっと昔、嫁ハンの実家のあった和歌山の市内で見た情景、人々じゃなかったのかと思い至ったけど。なぜ今、こんなリアルな夢を見たのだろう。
2003年6月13日
最近読んだ本
「ナンギやけど」 田辺聖子
阪神淡路大震災へのチャリティとして、一番自分の苦手なこと(講演)をあえてして、お金を集めようとした作者の心意気。震災数週間後の東京での講演の記録とエッセイ。貴重な証言としてだけでなく、すぐれた関西人論、文化論にまで昇華しているのは流石。鎮魂と共に基本に流れるのは関西文化に対する賛美です。
「二一世紀への手紙」 曾野綾子
時々この人の教育論を読んで、自らを振り返る。考えの違うところもあるけれど、作者の潔い姿勢にはいつも襟を正させられます。
「高校生諸君!映画を見なさい」 吉村英夫
ちょっと押しつけがましい題名だけど、その反発は計算に入れてのこと。「一行詩 父よ母よ」などで国語教師、文筆家としても定評のあった作者が、映画評論をしたいばっかりに(?)教職を辞して、発表した映画案内。青春、友情、学校などのテーマ別に映画を紹介してゆくのだが、個人的になつかしい映画があって、私と映画の趣味は合いそう。特に「冒険者たち」を取り上げてくれているのがうれしい。
2003年6月10日
もっと京都
5月の某日。青空の下、京都を歩く。若葉、青葉が美しい。先斗町を北へ抜けて、三条、そしてお池通りを横切り、京都ホテルの東の筋を少し上る。ここが鴨川沿いに連なる川床の北限(貴船や高尾は別)。予約していた「川島」床でお昼のセット。クーポンが利いておまけに特製の日本酒がサービス。これで2〇〇〇円は安い。直接光を避けてよしずが張られ、その蔭で、川風に吹かれて極楽気分。先斗町界隈の喧噪もなく、緑も、川の流れもいちだんと近く、眺めもいいこのあたりは、京の川床の一番のお奨めです。後日、先斗町の川床も行ったけれど、サービスもいまいちで、窮屈でした。
あれだけの都会で、結構きれいな川の側で、涼を取れる環境があるというのがいいなあ。ねがわくば、橋にもっと風情をもたせたい。京で売り物になる橋といえば渡月橋だけ、というのは寂しい。大阪(橋はこちらが立派)も道頓堀で工事をしているけど、なんとか工夫したい。せっかく水に恵まれた風土をもっと生かすべきでしょう。
2003年6月7日
アウン・サン・スー・チーさんの命を支えているのは、国際世論という目に見えない力なのでしょうか。もちろん、それだけではないかもしれないけれど・・・。
突然の激しい雷雨にテニスも中断。雨の滲み込むコートを見つめる仲間達。ふと鳥たちはどうしているかと見上げて探すと、電線に止まった燕達がしきりに羽づくろいをしている。どうやらどしゃぶりの雨も水浴代わりらしい。小止みになったら、人間より一足早くすうっとコートの上に飛び出して行きました。
2003年6月6日
最近酒量が増えている。先日通知があった今年度の定期健康診断結果でオールAという判定をもらったこと(友人たちは「人生観が変わった」、「健康診断に対する信頼性が問われる」などと騒いでいた)に気をよくして、自分でも調子に乗っているのだと思う。週1回の休肝日も忘れ勝ち。
今日こそ、飲むまいと帰宅したのに、夕食に出てきたオカズが、最近人気のアマランサスという西洋野菜の胡麻和え、長芋の千切りを凍らせたものと赤ほうれん草とレタスのサラダ、焼き魚・・・これで飲まなかったらどうする?ケンカ売っとんのか?などと訳の分からぬ文句を嫁ハンに言いつつ、うれしそうにビールを開けてしまう自分がいる。飲みつつ、いそいそと後の焼酎に備えて、湯を沸かすことも抜かりない。
かくて、体重は80キロを切れず、ああ今年もTシャツ姿は見せられないと嘆く日々です。
2003年6月4日
通勤に自転車を使用するようになって1ヶ月近くになりました。電車、バスもいいけど、これも面白い。まあ、サイクリングには最適の季節なのですが、もっと早く始めてみればよかったと後悔している状況。時間的には車と変わらず、電車、バスより30分速い。いろいろなコースを試したあげく、落ち着いたのが、藤井寺からまっすぐ北に上がり、大和川にぶつかって、北側の堤沿いを西に下るコースです。朝夕の川の景色の美しさ。長い堤の上のサイクル専用道路を下る気持ちよさ。
大和川は水質浄化の為の置き石工事が完了し、小さな堰がいくつも出来ていて、そのせいかこころなしか流れがきれいになったみたい。なにより、その置かれた多くの石が、野鳥が安心して宿れる聖域になって、様々な鳥の生態が見られます。
怖いのは交通事故の可能性。結構狭い道にも車がひしめき、自転車とのニアミスも多い。職場の上司も通勤中の自転車事故で入院中。
もひとつ怖い花粉症。これまで何も症状がなかったのに、このひと月、走った後にくしゃみと鼻水。これには困った。マスクを用意しているのですが、こんなにしんどいとは思わなかった。
舞台はときめき
「ビギン・ザ・ビギン」
昨年の帝劇の舞台。先日BSで放映されたので、勇んで見る。今は無き日劇を舞台にした森光子の為に書かれたエンタテイメント。期待作。これが企画のイージーさと脚本のええかげんさで、なんとも半端な舞台。まず、日劇と帝劇の雰囲気の違いが決定的。日劇へのオマージュなら帝劇でやるべきではない。日比谷と銀座は地理的に近くても、「山の手」と「下町」と言い切ってもいい、劇場の持ち味の違いがあります。
森光子はもと女給で、かつて、軍需工場になっていた日劇で働いていて、空襲で爆死した女工の幽霊というお得意の役どころ。18才の回想シーンまでいきいきと演じるけれど、それって「放浪記」のええとこどりに過ぎないし、せっかくの風間杜夫や若手男優との絡みもどこかでやった二番煎じみたい。土屋祐子さんも「アマポーラ」を唄うためだけに出ているようで為所なし。もったいない。
日劇ショーの再現も中途半端やなあ!観に行ってたら「木戸銭返せ!」と叫んだところでしょうが、テレビでは、なんともはや・・・。