Kan-Kan の雑記帳


2004年7月21日

 先月ガンで亡くなった狂言師、五世野村万之丞さん(享年44歳)。八世万蔵襲名を来年1月に控えていました。彼が病室で残した句。「万蔵に万感の思いをこめて千秋楽」。7月10日の楽劇葬で、彼の演出で「天守物語」のヒロインを演じた松坂慶子さんが、その富姫の科白で「私はあなたに未練がある。助けたい未練がある。」と遺影に語りかけたそうです。
 ガンと闘っている友人が2人います。助けたい。

行く人

カルロス・クライバー氏(7月13日死去、指揮者、74才)

 少ない出演、何度ドタキャンしても名演で信用と人気を取り戻すーカリスマ指揮者と言われた所以です。ドイツ生まれ、ナチスから逃れて南米へ。その後帰国、オーストリア国籍を取って、ウィーン・フィルも振ったけど、最後は夫人の出身地スロベニアで亡くなり、その地の夫人の墓の側に埋葬されたそうです。

最近読んだ本

「ジェシカが駆け抜けた七年間について」  歌野晶午(うたのしょうご)

 世界的ランナーを目指す、エチオピア出身の少女と、彼女達を養成する運動クラブのコーチ、選手との確執。それが殺人事件に発展して…。事件は2004年12月に新潟で起こる。
 ミステリーとして巧妙なんだろうけど、正直言って「あざとい!」。語り口ではぐらかされた感じ。辻褄は合うのだけれど…。どうせなら、気持ちよくだまされたかった。文章のキレもイマイチ。今、人気の作家らしい(図書館の棚に名札が付いている)けど、買いません。

2004年7月18日

 連休のうれしさは、朝寝、朝湯、思い切った運動ができること、ニンニクなどが食べられること、溜まった新聞を読み、読書が出来、部屋の掃除、家周りの清掃、庭木の手入れ、ちょっとした買い物、そして、昼からビールが飲めること・・・。

 田舎にいれば、農作業が優先。早朝から畑に向かう。こんなのんびりした思いは絶対味わえません。両親や弟夫婦に申し訳なく思いつつ、休日を楽しませてもらっています。

 アフターヌーンティも楽しみ。先刻、新聞で読んだおいしい紅茶を入れるコツ。「水道は15秒出しっぱなしにして、空気が適度に混ざってから、ヤカンで沸かす。ミルクは加熱すると紅茶に合わないので、低温殺菌の製品を温めないで使う」ーでも、紅茶がぬるくなるなあ。

 「ダイエットをする人は早死にし、少しずつ太ってゆく人が長生きする」ドイツのベストセラー、「健康と食べ物 あっと驚く常識のウソ」から。めちゃうれしい情報だけど、90キロは超えたくない。

最近読んだ本

「海のふた」  よしもとばなな

 最近の新聞連載小説で、これほど楽しみにしたものはなかった(週一の連載)。故郷である西伊豆でカキ氷屋を営む「私」と、母の友人の娘「はじめちゃん」のひと夏の交流を中心に、寂れ始めた海岸町の日常が淡々と描かれる。その文章が、透明感と哀しみ、希望に満ちて、美しい。

「グリーン・マイル3 コーフィの手 4 ドラクロアの悲惨な死 」 スティーブン・キング

 死刑囚を収監する刑務所内で起こる、様々の事件。その中に奇跡も。現実、非現実を絡み合わせ、死と生が浮き上がる。人物造型が確かなので、登場人物にはもう身近な人のような親しみを感じる。第5巻が手に入る(図書館で予約中)のが待ち遠しい。 

2004年7月12日

 安眠できるという中途半端な自慢話が、寝付かれない人々の恨みを負うつもり(積もり)にやありけん(源氏物語です)、早速、悪夢を見ました。

 汚れた川の畔で眠ろうとしている。蟇、蛇、鰐、いもり、山椒魚、などが草陰、水中からこちらをじっと見つめている。うごめいている。やばい!これは、音に聞くアルコール依存症の症状ではないか、と意識の中で驚き焦っている。

 突然、誰かが右腕を抑える。これは強盗だと思う。なにする!と叫びながら、力をいれて振り払うと、体の左へ飛んで行く。その感触が腕にリアルだ。起き上がり、電気をつけると、狭い部屋には誰もいない、幸い嫁ハンはまだ帰っていない。大声を挙げたことを恥じながら、汗を拭う。あの黒い影はなんだったのだろう・・・。

 11日、嫁ハンと食べに行った、イタ飯の店の前の花屋で、夕顔の苗を見つける。最後の1本なので100円を50円にまけてくれる。帰って朝顔の間に植える。時期が遅いけど、花開くでしょうか?

映画大好き

「フォーエバー・フレンズ」

 何度見ても泣ける、女性の友情物語。上流階級のお嬢様と、ニューヨークの下町の歌手志望の娘がふとしたことで知り合い、生涯の友情を結ぶ。

 お嬢様のバーバラ・ハッシーもいいけれど、圧巻はベッド・ミドラー。上昇志向の強い、下品だけれど愛すべき女を演じて、過不足ありません。その歌がなんといっても、すばらしい。未見の方は是非。見て損はしません。

2004年7月11日

 あっという間に過ぎた選挙戦。こちらが忙しいせいか、選挙カーもあまり見かけなかったような気がします。争点と盛り上がりに欠けたのは事実だろうけれど、投票率の低いのはいつもながら残念。これだけ自由で、安全、安定した(?)民主国家で、選挙権を行使しないなんて・・・。贅沢というより怠慢、驕りを感じます。まして、多くの深刻な国際問題等を抱えているのです。

 絶望してるとか、変わらないからという人もいるけれど、政界全般に不満があるなら、あきらめず、まず野党に投票すればと思うのです。

 それにしても報道合戦は熱い。でも、「当選確実」の報道は慎重にあるべしでしょうね。ずっと投票には行ってますが、一度だけ「出口調査」に遇ったことがあります。私は断りましたが、答える人、答えない人にも、それぞれ共通点があるようで、しばらく見ていておもしろかったです。出口調査と投票結果の微妙なズレも興味深い。

最近読んだ本

 「グリーンマイル2 死刑囚と鼠」  スティーブン・キング

 映画も見ていないので、分冊で読んで行くのが楽しみ。昔の月間雑誌の連載を待つ気分で、図書館の予約待ちを楽しんでいます。死刑囚を収監し刑を執行するコールドマウンテン刑務所の職員が、其処での事件を回想する形なのですが、囚人、看守の人物像、そして不思議な鼠の登場も丁寧に描かれて、ズンズンと奇妙な緊張感が高まって行きます。

 どうしようもない暴力的で、悪意に満ちた配下の看守を抑えながら、囚人と対応する主人公の苦悩。「後ろでシンバルを鳴らされながら、時限爆弾の装置の撤去作業をするようだ・・・」。

2004年7月10日

 熱い夜が続きました。寝苦しいという声をよく聞きますが、これに関しては悩みはありません。まず、アルコールのせいで寝つきがいい。数時間のクーラーが切れて汗をかいた頃に、夜明け。午前4時過ぎに窓を開け放つと、なんともいえない涼風が流れ込んでくる。その風を感じながら二度寝をする、これが至福の時。夢の続きを見られることもある。都心では無理のよう。これは郊外に住んでいるものの特権なのでしょう。

 名作ドラマのリメークが続きます。好評らしい。それで珍しく「人間の証明」の第1回を見てしまう。
 でも、がっかり。瀕死の青年が呟いた「ストウハ」という言葉の謎がいとも簡単の明かされ、しかも舞台になるお台場の観覧車に、露骨に麦藁帽子のイルミネーションが・・・。おいおい、あれは朦朧とした目で見上げた、ホテルニューオータニの丸い展望レストランの明かりのラインが麦藁帽子に見えたのでしょうが・・・貧しい青年と高級ホテルの取り合わせに意味があったのに。


今年の俳優祭

 歌舞伎俳優が中心になって、歌舞伎座で開かれるファン感謝デーのようなもの。模擬店やバザーなどもあるのですが見ものはこの日のためだけに用意された舞台。毎回凝った割りに楽屋落ちが多くて空回りすることが多いのですが、今年は久々のヒットでした。

 今年の担当は中村勘九郎。出し物は「歌舞伎座の怪人」。まず、着想がいい。歌舞伎座ならオペラ座に負けません。奈落の底に怪人が住み、大部屋俳優の血を吸ってゆく。妖怪ものなら歌舞伎はお得意。映像と舞台を融合させて、遊び心がたっぷり。坂東三津五郎も気持ちよく主役を演じていたし、なにより血を吸っても、若さと美しさと芸を維持したいというテーマがすんなり観客に伝わりました。

 恒例の一芸を披露させる試みは今年は「安宅の関」。老いた富樫に扮した片岡仁左衛門が通行人であるスター達に芸をさせる。藤山直美や新海老蔵も登場してにぎやかでした。


最近読んだ本

 「興奮」 ディック・フランシス

 長年憧れていたいい女にやっと巡り会えた感じ。作者は元エリザベス皇太后のお抱え騎手。今は超人気の競馬ミステリー作家。オーストラリアの男前で有能な農場主のダニエル・ロークは、イギリスの競馬での八百長疑惑を解明するため、理事会の依頼を受けて、荒くれた厩務員に扮して疑わしき牧場に潜入するのですが・・・。

 競馬の世界をリアルに描きつつ、007を生んだお国柄、スマートなヒーローの活躍もたっぷり描いて、エンタテイメントとしても上々の仕上がりです。

2004年7月8日

 7月の座禅は晴れた朝。7時前に、蚊の用心をして長袖、長ズボンで行くと、朝日の当たる本堂はもうむっとする暑さ。汗が噴出す。今年の冬に老祖が92歳で亡くなり、友人である現住職がポクポクと「お勤め」をしている。後ろ姿に亡くなった老祖の姿がだぶる。蝉の声がかすか響いてくる。座禅の後の茶飲み話によると、24歳の息子さんが今月15日に本山(永源寺)での修行を終えて、帰って来るとのこと。こうして続いて行くんだなあと思う。

 でも、息子さんはそれでよかったん?と訊くと、ちょっと彼が詰まりました。本山に残ってほしいという要請があるという話を、以前に聞いていたのです。盆も控え、寺は忙しい時期。住まいも整備して、すべて友人が主導したけれど・・・。

 ま、来月から新副住職の息子さんに会えるのが楽しみでもありますが・・・。


 今年も北海道へ教員採用試験を受けに行った教え子から、お土産に夕張長芋焼酎「寅次郎」をもらう。毎年、北海道の酒を持って帰ってくれるのです。ひそかに楽しみにしている私。教え子も飲ん兵衛だけあって、今年のもおいしい。名前の由来は山田洋次監督の映画「幸せの黄色いハンカチ」のロケ地になった所縁からのよう。監督と松竹の許可を得ている由、製造は夕張メロンブランデー醸造研究所。うーむ、メロンブランデーも飲んでみたい、リクエストしようか、あ、彼には今年こそ、合格してもらわなくっちゃ。


往く人 来る人

野沢 尚(ひさし)さん  作家・脚本家 自殺 44歳

 驚きました。気鋭の、上り坂の人が・・・。ドラマ「眠れる森」「結婚前夜」で向田邦子賞、小説「破線のマリス」で江戸川乱歩賞、すべての脚本家の憧れ、司馬遼太郎の「坂の上の雲」のNHKドラマの担当にも決まっていました。早熟で、若いときからいつもきれのいい作品を作るけど、失敗のない、まとまった、優等生という印象があります。それが、プレッシャーにもつながったのでしょうか。律儀な人柄と聞きました。それもせつない。遺書で盟友の演出家、鶴橋康夫に残した言葉「ここまで育ててくれてありがとう」。鶴橋の追悼文の最後「僕は、泣き続けるしか術がない」。

マーロン・ブランド  さん  死因、年齢 失念しました

 名優、大スターというより、最後は怪優というイメージでした。反逆児、野生児、セクシーというより、欲望や性そのものを体現できる存在感がありました。波止場、欲望という名の電車、ゴッドファーザー、地獄の黙示録・・・演技を超えた演技者でした。いわゆる外国の女性(特に少数民族とよばれる人々)が好きで世界のあちこちにたくさんの女性と子供がいたようですが・・・。

シャラポワ  ロシアのテニスプレーヤー 17歳

 ウィンブルドンでセレーナ・ウイリアムズの撃破して初優勝。史上2人目の若さです。183センチ、59キロ、ブロンドで現役のファションモデルでもある。非常な努力もあったのでしょうが、天は一人の人物に二物も三物も与えることもあるのですね。



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