Kan-Kan の雑記帳


2011年11月29日
 
「 誠実に 生きゆくのみを尊しと 言ひきて何に 今宵寂しき 」 礒 幾造
 
 茂吉に師事し、生涯6363首を残し、昨年死去した歌人。
 
  あの前日からの出口調査は、いたるところであったのですね。投票が終わるかどうかのタイミングで、すでに当確の速報。なんやそれ!
 
震災もあって、ますます閉塞感の漂う日本、大阪・・・
今のままでいいと思っている人はいない、
だからと言って、過激な変革案を出して
反対すれば、即、対案を出せ、
出さないと、足を引っ張る抵抗勢力と切り捨てる
 
具体案もろくに示さないまま、変化への期待だけを煽らせ
力づくで物事をすすめ、それを実行力と勘違いして
ホイと権力を委ねてしまうその危険
 
大阪の、日本の明日が心配です。
 
 選ばれた方だけではなく、選んだ方も問題です。
 
「お嬢様、失礼ながらお嬢様はアホでいらっしゃいますか!?」
もっと、ボロクソに美しい北川景子さんを罵倒してやってほしい。
つい、「謎解きはディナーのあとで」を見てしまいます。
 
 今年の紅葉狩りは、友人に誘われて京都の光明寺へ。
有名な広くなだらかな階段の両側は見事な紅葉の盛り。
腰痛の私にも、楽なコースでした。
青空を背にした鮮やかな裏もみじもしっかり見られました。
 
歩いて長岡天神へ
境内の「錦水亭」へ。
池の上に張り出した離れは、名物、つつじやタケノコのシーズンには予約不能ですが
シーズンオフで静かな佇まい
先日、(中村)吉右衛門さんも、こっそり来たそうです。
いい秋の一日でした。
 
最近印象に残った言葉
 
内館 牧子さんのノンフィクションから
 
 転職に迷う男(現在テレビで活躍中のキャスター)に20歳の恋人(後の妻)が掛けた言葉
 
「付き合っていても、そうやって暗くなって、マイナスの会話が増えてきて、なにもいいことがないわ。会社やめなさいよ。この先、どうなっているかかわらないけれど、暗くなっているよりずっといいわ」
 
内館さん曰く「 いかに若くても、女はここぞという時に核心を突く 」
 
更に、メリルリンチ日本証券の小林いずみ社長の言葉を引く
 
「 朝、出かけるときに、これからの一日で一つでも楽しいことが考えられなかった、その仕事は辞めた方がいい 」
 
内館さんは自身の、責任ある仕事を与えられず、味気なかったOL生活から
 
「 私ね、仕事で追い詰められて、胃がきりきりと痛んだり、断崖絶壁に立たされたり、そんな思いをしてみたかった。それも幸せなことだと思うわ・・・」
 
 「やってしまった後悔、やらなかった後悔」
 
同窓会を機会に、昔の自分の言葉の重みを噛みしめ、反復する日々です。
 
内館さんのルポも
 
夢の為に
飛び出して後悔して死ぬ人がいるだろう
一方、飛び出さずに満足して死ぬる人、
飛び出さずに後悔して死ぬ人がいるだろう。
 
どうなるのかは死ぬ時にしかわからない。
ただこれだけは言える。
 
よく生きた人だけがよく死ねるのだ。
 
とまとめられていますが・・・。
 
 
 
2011年11月26日
 
「 黄菊白菊 そのほかの名は なくもがな 」
 
作者名を忘れました。
 
職場でたくさんの菊をいただく。黄、白、紫・・・球状のものはピンポン菊というらしい。茎も長く、重い。帰りに、駅前の美人女将のいる居酒屋に寄る。女将は茶華道に精通し、当然、着物にも詳しいのでいつもいろいろ教えてもらっています。
 
 半分貰ろうて、と差し出すと狂喜。
早速、客を放っておいて、壺を運んできて、そそくさとi生け始める。
私はその間、花のお礼にビールをおごってもらう(笑)。
鮮やかな手並みに居合わせたみんな感嘆。
 
見事やなあ。
生け花歴37年よ!
じゃあ、1歳から習っているんだ。(よいしょする私)
そう、38歳なの。(平然と言い放つ女将)
ママ、30才、サバ読んでいるやろ?(つっこむ常連さんHくん)
おだまり!剣山でぶつよ!
 
ちなみに、女将は私より年上です(笑)。
 
26日、澄みきった秋空の下、コルセットをしてテニス。
アホちゃう?と言われつつ、筋力アップに励む私です。
でも、やはり腰が痛かった(苦笑)。マッサージと半身浴でやや回復。
 
今週の「相棒」は見ごたえあり。
ゲストは研ナオコ。伝説のジャス・シンガーという設定(ブルースの方がよかった気もするが・・・)は悪くない。
でも、驕慢な過去のスターの無愛想な態度はいいけれど、演出的には、最後にちらっと笑顔を見せたら、もっと余韻が残ったと思います。
 
雑誌「ビッグコミック」がおもろないと書いたら、10月から11月にかけての2号は盛り返しました。
 
マンネリの「ゴルゴ13」ーリビアを舞台に反政府運動と石油の利権をめぐっての国際的陰謀をケンブリッジ卒業後21年ぶりに再会した3人の男女の運命を絡めて描く。ゴルゴがほとんど姿を見せないのもいい。
 
 
最近不調の「山口六平太」ー楽しみにして参加した体験稲刈りで、鎌で手を切ってしまった男の子。案の定、モンスターペアレント(父親)が怒鳴り込んできて・・・。主宰者のおばあさんが東大卒と聞いて、父親が引っ込むという結末は甘いが、現状を反映してはいる。
一方、雑誌「ビッグコミックオリジナル」は相変わらず好調。
 
「三丁目の夕日」は『星になった犬』ー人工衛星スプートニク2号に乗せられたライカ犬に、最初、熱狂し、やがて帰れないと知って、憤り心配する3丁目の少年たちと犬たち。後年「マイライフアズアドッグ」という映画にもなった、切ない話です。でもコミックでは、最後に宇宙人も登場して、鮮やかなどんでんがあって救われるのです。
 
 いつも気になっているのは『看護助手のナナちゃん』。病院の看護、介護、そして看護助手の立場、患者の立場も丁寧にリアル描いて、じんとさせられます。
 
 『深夜食堂』も健在。テレビドラマも見たいのですが、深夜の放映で、いつも録画を忘れます(苦笑)。
 
 明日の府知事選挙の事前投票に行ってきました。明日は友人と紅葉狩りの約束があるのです。
 
 午後6時、もう暗い市役所周辺ですが、続々人がやってくる。4階の一部屋。立会人を含む担当の方も7、8人対応。順番待ちで、以前来た時とは全然違う活気?それだけ今回の選挙は関心が高いのでしょう。ええことですが、これがどう反映するか、心配。
 
 市役所玄関で、出口調査(朝日新聞)にも出会う。この調査に出くわすのは2度目ですが、今回は答えてあげました。
 
 まだまだ続く厳しい就職戦線。残っている生徒は、ハローワークや合同説明会などにも出かけ、2次募集にも応じるのですが、これもなかなか難しい。面接など一生懸命練習しているのですが、なかなか身につくものではないのですね、悔しいけれど・・・。
 
 最近印象に残った言葉
 
内館牧子さんのノンフィクションから
 
  私は人間には二通りあると思っている。何かを断ち切るとき「スパッと切って、二度と近寄らない」タイプと、「趣味で楽しもうとする」タイプである。恋愛もそうだ。別れた相手と二度と会わないタイプと、よき友達でいようとするタイプがある。
 
 確かに。自分はどちらだろう。やはり、前者かな。
 
 
 

2011年11月25日

 

 

「 誰もみな 死ぬものなれど 一日一日 死までの時間が 立ち上がりくる 」  河野 裕子

 

書きたいことがいっぱいあるのに、体がついてゆきません(苦笑)。

次元は違うのに、河野さんの、もっともっと歌いたかった気持ちが、ちょっぴり解るように思います。

 

 まずは、書き忘れていた「ボジョレー・ヌーボーの会」の話から

 

 ささやかなHPながら、その影響が気になって、近年は固有名詞(作品名、作家名などは別ですが)など、できるだけぼやかしてきました(よくぼやかし忘れますが・・・苦笑)。

 

でも、もういいや。適当に行こう、と思いはじめました。

 

以前は店の名前など、はっきり書いていました。

南河内の山の中のレストラン「山燈火」、阿倍野の店「三吉」など・・・

それを読んでくださって、その店に連れて行ってと言ってくださって、ご夫婦で行ったという話を後で聞きました。

その人ーかつての同僚の奥様(まだ50代)が、この夏亡くなられたという喪中欠礼の葉書、言葉もありません。

 

ささやかな情報でも、楽しみにしてくださった方もいるんだ。

 

 で、今年のボジョレーの会です。

 

毎年、一緒に行っている友人に、今年の会場は「ルポンドシエル」(フレンチの名店です)と告げると、えーっとの反応。

それは歓喜ではなく、失望の声。

昨年のハイアット・リージェンシーがよかったというのもありますが

数年前に「ルポンドシエル」が会場になったとき、味はいいが、量が足りない

パーティの後半は飲み物、食べ物もないという状態で、

私もこの欄で、店名は上げないで、悪口を書いたと記憶しています(笑)。

 

今回は違いました。店も力が入っていました。

受付が終わるや否や、よく冷えたワインが次々注がれる。

ウェイターの数も多い。

え、ボジョレー(赤ワインです)も冷やすの?

ええ、この方が一段と飲みやすいのです。もし、苦ければ、手のひらで温めてください。

 

立席パーティ(バイキング)だったので、腰の痛い私は部屋の隅の椅子に座らせてもらい

嫁はんや息子、友人たちが運んでくれる餌、もとい、料理をいただくのみたっだのですが

前回の評判が届いていたのでしょうか

ワインも料理も最後まで余るほどあって、しかもおいしい。満足でした。

ボジョレーは400種類もあって、その夜の分は先日、リヨンのコンテストで優勝したものだそうです。

 

フランス総領事夫妻やどこかの会社のえらいさんもいらして総勢120名の

華やかなパーティで、ドレスや着物も美しい。

でも、われわれはお上品なムードに流されず?大騒ぎ。

 

アトラクションの抽選では、まずボジョレー20本が景品。

そのうち3本が同行の友人たちに当たったので大喜び。

 

私はエールフランス往復券を狙っていたのですが、外れました。

 

 でも、サービス、北浜のレトロなビルの雰囲気もよく、改めてお薦めの店です。

 

今日は晩秋らしいきれいな夕空でした。やはり雲が大事な要素です。

 

美しい自然。一方、人間界、読売の内紛は泥沼化。もっとやれー(笑)!

 

最近読んだ本

 

「 人生の終いじたく 」 中村 メイコ

 

70代後半になって、人生を振り返りつつ、死に方、死後のことを考えるーさっぱりして、拘らない視点が気持ちいい。

 

☆入院しても身ぎれいでいたい

 

最近の病院の「制服」を批判。そしてー

 

杉村春子さんは浴衣に博多のの伊達締めをぴっと締めてベッドに座っていた。

 

越路吹雪さんは淡いピンクとグレーで統一された部屋でゴージャスなネグリジェを着ていた・・・

 

もうじきどっちみち死ぬんだからとお仕着せの「制服」なんて、冗談じゃない・・・同感です。

 

☆ 美空ひばりさんの臨終近く、順天堂大学病院に見舞ってー

 

「きちんとケリをつけておきたい、とか、秘密にしておくことの確認とかあったら、私、その人に会いにゆくけど・・・」

 

「大丈夫。全部ケリはつけてあるから、ありがとう 」

 

 2歳から芸能界にいて、いわゆる世間を知らなかったメイコさんの親友は、同じ境遇だった美空ひばりさん。二人にしかわからない苦しみ、孤独があったのだろう。でも、メイコさんには「普通の」夫、神津善行さんがいた。その分美空さんが痛ましい(享年52才)。

 

☆「なぜ夕焼け空は赤いのか」

 

メイコさんの父親(作家・中村正常さん)は「空が恥ずかしがっているからだよ」

 

学校でその通り答えて×を貰い、先生の言ったことと違うとメイコさんが抗議するとー

 

「どちらも正しいんだよ。答えは何通りあってもいい。それがその人の個性かもしれないからね。答えがひとつだけなんて人生は、息苦しいじゃないか」

 

 中村さんは戦争の厳しい言論統制に抵抗して筆を折り、戦後も復帰しませんでした。その分、家族は生活苦を味わったのですが、その在り方にメイコさんはじめ家族は理解と尊敬をずっと持ち続けたようです。

 

2011年11月23日
 
「 帰る家 もどる巣ありて 秋の暮れ 」  木内 怜子
 
 夕空晴れて 秋風吹き・・・カラスが古墳に向かって飛んでゆきます。帰ったばかりなのに、故郷を思う秋です。
 
行く人
 
立川談志(たてかわ・だんし<本名・松岡克由=まつおか・かつよし>)さん
 
カリスマ的人気を誇った落語家で元参院議員の立川談志(たてかわ・だんし<本名・松岡克由=まつおか・かつよし>)さんが21日午後2時24分、喉頭がんのため東京都内の病院で死去した。75歳。葬儀は23日、密葬で行われた。後日お別れの会を開く予定。喪主は妻則子(のりこ)さん。

 東京都出身。1952年、16歳で五代目柳家小さんに入門、小よしを名乗った。63年、五代目談志を襲名し真打ちに昇進した。

 「伝統を現代に」を掲げ、江戸情緒を大切にしながらも現代的な感性で古典落語を捉え直し、新たな息吹を与え、戦後落語界に風雲児となった。「落語とは人間の業の肯定」と唱え、卓越した心理描写で語る「芝浜」や「紺屋高尾」などの人情ばなしを得意ネタとした。

 落語への愛着は強く、65年、落語人気を盛り上げようと、「笑点」(日本テレビ系)の前身番組を企画。69年まで「笑点」初代司会者を務めた。

 また高座でもテレビなどでも、毒舌で政治や社会を鋭く風刺。言動はしばしば物議を醸した。

 タレント議員の活躍に触発され、71年、参院選全国区に立候補して当選。75年12月、三木内閣の沖縄開発庁政務次官に就任したが、飲酒トラブルなどで翌年1月に辞任した。

 83年には、真打ち制度をめぐって落語協会と対立し、脱会。落語立川流を創設し、家元を名乗った。志の輔さん、談春さん、志らくさんら人気と実力を兼ね備えた弟子を育てた。

 97年に早期の食道がんを公表。09年8月、糖尿病などの治療のため休養した。10年4月に高座復帰したが、ほとんど声が出ない状態が続いた。今年3月に入ってストレス性胃潰瘍で一時入院。その後も療養を続けていた。10月27日に容体が急変し、約3週間、意識が戻らないまま亡くなった。
 
 

 天才でした。その分、生き方も八方破れであちこちにぶつかって・・・。弟子の談春さんの著書にも伺われます。弟子も苦労したでしょう。でも、それを補って余りある落語家としての魅力がありました。
 
 まだ11月なのに、喪中欠礼のはがきの多いこと。
 
先日亡くなった友人の娘さんから
 
「 歴史文化を愛し学び続けた生涯でした。尊敬する父であり、師でありました。」
 
 ☆斎藤 由香さんのエッセイから
 
 斎藤さんは、北杜夫さんの娘さん。北さんの死の2週間前に、祖母が死、その告別式の翌日に石川遼くんの出るキャノンオープンを見にゆき、リハビリのための歩くのをいやがる父親を歩かせている。漫才のような父娘のやりとり。その時には死の予感はまったくなかったのに・・・。
 
 
最近読んだ本
 
「 話を読む 」  眉村 卓
 
「 真珠のコップ 」 石田 衣良
 
「 スターダスト・レビュー 」  浅田 次郎
 
 浅田さんの作品は、六本木の裏社会を舞台にした作者お得意の哀切なストーリー。もと前途有望なクラシックピアニスト、今はクラブの弾き語り。最後は復帰を諦め、この街で生きる為、腕を切り落とそうとする・・・。うまいけど、後味悪
し。
 
 石田さんの作品が近来の収穫。おすすめです。
 
最近知ったこと
 
 オリオン座のペテルギウスが近い将来、超新星爆発を起こすとか・・・。地球からわずか640光年という「ご近所」なので、もし爆発すれば、突き抜けるニュートリノはともかく、X線によって地球は大きな被害を受けるかも。でも、ちょっと見てみたい。昼はふたつの、そして、夜も輝く新しい太陽を。
 
 30年前にヨットからの転落事故で亡くなったとされるアメリカ女優、ナタリー・ウッドさん(「ウエストサイド物語」「草原の輝き」などー当時43才)の死について新しい情報が入り、再捜査が始まる。トップ女優の死は、当時大きな話題となり、死因も取りざたされました。
 
 ヨットにいた二人の男、ナタリーさん夫の人気俳優、ロバート・ワグナーと、当時ナタリーさんと共演していた若手俳優が事故直前争っていたという・・・。その時、名前も上がらなかった若手俳優というのが、今は大物、クリストファ−・ウォーケンだという。これは驚き。ちなみにカリフォルニア州には殺人罪に時効がないそうです。
 
 一方、日本の大阪の話。選挙も気がかりですが、下の息子は、先日、配置換えで念願の部署に。でも「凶行犯担当」というのが、気の小さい親としてはちょっと心配。当然のことながら、死体をしょっちゅう見る立場だそうで、また、夜の張り込みは、ものすごく寒いそうです。ちょっと家に寄ったので、カイロをどかっと渡してやりました。
 
最近印象に残った言葉
 
 「肩書きは部下を守るためにある」 
 
 佐々木則夫 なでしこジャパン監督  建築会社を経営していたお父さんの言葉 肩書きで、異常な贅沢をし、自分の身を守る輩が横行する時代です。
 
 「世の中を不幸にする信仰の自由などあるものか」  坂本堤 弁護士
 
 裁判は終結したけれど、主犯はものを言わず。まだ逃亡中の容疑者もいて、そしてオウムの組織も存続している・・・。

2011年11月21日
 
「 病院のベッドで『しんどいやろ』と言う 本当にしんどい老母が私に 」
 
読売歌壇から  大阪市 澤田さん
 
親思う心に勝る親心・・・切ない
 
 
 3年前に、仕事を失い、離婚もして、一念発起、串カツ屋を始めたけれど、客がイマイチという、同窓会での教え子の話が気になって、店を襲撃。いい店だったけれど、確かに客は少なかったなあ。歓迎されて、つい飲みすぎました。反省。最近「福男」(行けば客がくるヤツ)と呼ばれているので、ちょっといい気になって、まじないをかけに行ったのですが・・・。
 
 その効果を確かめる前に帰省してしまいました。前回の帰省もでしたが、今回も雨。ツワブキの黄色い花だけが鮮やかな庭。伸び放題の庭木(父が日が射さなくなったと嘆いている)も、雨が上がった3日目にちょっと手を入れただけ。
 
 母の書類を一緒に探したり、3度の食事の準備をしているうちにあっという間に日が経ってゆく。父は着実に終い支度を始めつつ、機嫌よく酒を飲み、かつ相手をしてほしがる。母は雨だし、ゆっくりしなさいと言いつつ、次から次へとあれこれ言いつけ、かつ、話し相手をしてほしがる。気が付けば、飲みつつ、動き続け、その結果、腰痛再発。
 
 活字中毒の私が、本も新聞もほとんど読まず、帰りの「潮風」の中でも新幹線の中でも、腰を庇いつつぼーっとしていました。自分が老けて、萎びていっている感じ。やばい、これって・・・(苦笑)。
 
 帰阪すれば、まだまだ、先週の同窓会の余韻が響いています。
 
 会の2日後に手術した教え子はうまくいって、退院。今日から仕事に。ひと安心。
 
 同窓会の連絡が会の後についた生徒からメール。実は2年前から癌の闘病中だとのこと。それで彼女の花屋さんは閉まっていたんだ。
 
 同窓会を楽しみにしつつ、会の2週間前に心臓発作で急死した教え子がいたとのこと。
 
 その事を、今日、教えてくれた幹事自身も、実は癌から復帰したばかりで、大病を経験したことが同窓会企画につながったという・・・。
 
 さまざまな人生を垣間見て、心揺さぶられること多し。復活した新たな関係を大切に、残りの人生をしっかり生きようと励ましあったことでした。
 
 最近印象に残った言葉
 
「 巨人軍は永久に私物です 
」 テレビのコメンテーター
 
 もちろん、長嶋選手の引退試合の
「巨人軍は永久に不滅です
」のパロディですが、ウマイ。笑いました。突然の記者会見から始まった巨人軍フロントの内紛は二転三転、清武氏の解任という事態に。独裁者と刺し違えるのかと思えば、そうではないようで、まだまだ尾を引きそうな展開に、目が離せません。孤立無援だった(マスコミ、球界では特に)氏への風向きも、ちょっと変わってきたみたい。組織論にすり替えるのではなく、権力者にものが言えない風潮(それもマスコミの世界で)に風穴を開ければ、それは意味があるのです。
 
 「 GNH(国民総幸福量) 」
 
 GNPでなく、世界一を目指すのでもなく、ひとりひとりのささやかな幸せを提唱、追求するヒマラヤ山麓の小国、ブータン。若々しい国王夫妻(国王はアントニオ猪木をハンサムにした感じ)のさわやかさと共にブームを呼んでいるがわかります。旅行社への問い合わせは昨年の五〇倍とか。でも、直行便はありません。費用も割高。でもそれでよし。変なのが押しかけて、自然を人々の幸福を損なわないでいてほしい。
 
 「 ブータンも 田を植ゑる国 歌の国 」 田中 裕明
 
 
 
 
2011年11月15日
 
「 ほんのちょっと ひっかけて来し 夜学生」 
 
  読売俳壇から さいたま市 藤井さん
 
 夜学には老齢の方もいます。 子どもや、孫のような年齢の教師、生徒を相手に、楽しさもあるけれど、また、屈折した複雑な思いもあるはずです。「酒気帯」は校則違反ではあるけれど・・・(苦笑)。
 
 まだ、同窓会の余韻が残って、同窓会の掲示板は大賑わい。なにせ、200人を超す出席者だったのです。話せなかった人もいました。個人的にも日夜、メールが飛び交っています(笑)。
 卒業生は48歳、男女とも働き盛りで、ブログを開いている人も多い。それを見るのも楽しい。そのうちのひとり、3年の時に授業を担当した元女生徒(担任ではなかった)のブログから、ご本人の了解を得て引用(一部固有名詞は〇にしました)します。
 
「高校の同窓会が市内のホテルで行われました。

当然のことながら、みんなおっさんとおばはんであった。
もう、「若く見える」んじゃなくて「若作りがうまい」の域である。

先生方もすっかりお年を召していて・・・
最高齢で米寿だそうで。
物理の〇先生。と言うことは、半世紀前から物理を教えていたんだ。
そのこと自体、驚くことだ。


高校の頃から本を良く読んでいた。
しかし、国語、英語、社会の成績はとても悪く、特に国語はダメだった。

卒業間際のある日、古文の先生に呼び止められた。
「君はとても良い感性をしている。成績は悪いけど、ボクは解ってる。本をたくさん読みなさい。今のまま。」
そう言われた。
まだまだピュアだった私は、「本を読んでも良いんだ!」と思ったわけだ。

そのあと乱読生活が始まるわけだ。

当時、その先生は確かどもってたはず。
「自分はこうして言葉を発するのが難しい。でもだからこそ日本語の美しさに惹かれている。古文にまで出てくる自然に囲まれた暮らしに憧れて南大阪に来た。」
そういっていた。

その先生が来られてて、言葉もはっきりしていて、さらにはブログを書いていたり、奥さんがシャンソン歌手になっちゃったりして人生を満喫されていた。

先生は「君のこと、覚えてるよ」とおっしゃってたけれど、たぶん覚えてないと思う。

それでも良い。

壊れそうになったり、くじけそうになったり、疲れたり、悪い気持ちでいっぱいになりそうなとき、本を読むことで心の均衡を保つと言う方法を教えてくれて、私の長い人生がどちらかに傾くことなくこうして生きてこれた、その方法を指南してくださった恩師に逢えただけでも行って良かった。」

 彼女のことは憶えています。でも、卒業前にそのように声かけたことは忘れていました(苦笑)。
 
 同様の事を、何人かから言われました。
 
 おとなしかった男子生徒が駆け寄って、「HRでのあの言葉がずっと支えてくれて、結婚も仕事もできて、今があります」と握手を求めてきました。その言葉(「やらなかった後悔より、やってしまった後悔を選びたい」)は憶えています。でも、それほどインパクトがあったとは・・・。当時、30才の私、あちこちで熱く語っていたんだなあ、とほろ苦く思い、また、その思いをきちんと受け止めてくれた生徒たちに感謝の一夜でした。
 
2011年11月14日
 
「 <断捨離を全部津波がしてくれた>友笑いおり 笑うほかなく 」
 
朝日歌壇から  気仙沼市 渡部さん
 
 震災・津波から7か月が過ぎて、思い出すのは3月22日の気仙沼市立階上(はしがみ)中学校の卒業式。
 
子どもの代わりに卒業証書を受ける父親、祝辞に詰まる校長。
 
そして、生徒会長の梶原祐太くんが答辞を読みました。
 
その一部
 
『“階上中学校といえば防災教育”と言われ、
 内外から高く評価され、十分な訓練もしていた私達でした。

 しかし、自然の猛威の前には人間の力はあまりにも無力で、
 私達から大切なものを容赦なく奪っていきました。

 天が与えた試練と言うには惨すぎるものでした。

 辛くて、悔しくて、たまりません。

 しかし、苦境にあっても天を恨まず、
 運命に耐え助け合って生きていくことが、

 これからの私達の使命です。』
 
 テレビのニュースで見て、泣きました。
 
梶原くんも親友3人を失いました。中学卒業後、
岩手の専門学校に進み、将来は、地震津波対策の研究をして
郷土気仙沼の復興に尽くしたいと言うてはります。
 
 まずは、6月の活動の継続、職員バザーをして、
売り上げを229名の両親を亡くした震災津波孤児中心に送りたいと考えています。
 
このブログをご覧の方で、物品提供などいただける方があれば、ご連絡よろしくお願いします。
 
 タイの知人は、とうとう地方都市に避難したそうです。
 
 医者に頼んで、病院を抜け、同窓会に来ていた教え子が、今日、延期していた手術。うまくゆきますように。一次会の会場出口で固く握手した、その強い手の感触を憶えています。
 
最近読んだ作品
 
「姫椿」  浅田 次郎
 
 資金繰りに行き詰まって、死に場所を探す社長。タクシーを捨てて、迷い込んだのは、昔住んだ下町の一帯。そのなじみの銭湯がふと現れて、そこの湯に浸かっているあいだに、そして脱衣場のそばの小さな庭の姫椿を眺めているうちに、少しずつ生きる意欲が戻ってくる・・・。
 
 これも作者一流のファンタジー。やはり、ちょっとあざといけれど(苦笑)。
 
 故郷の町の、今はだれもすんでいない恩師の家の前に、今年も白い花が咲いている。これだけは昔と変わらない景色。母を連れて車で通りかかって、
 
 あれは椿だっけ?と問うと、
 
 花が散っているでしょう、あれは山茶花、椿は散らないで落ちるのよ。
 
 そうでした。
 
 
2011年11月13日
 
 「 呼びとめて 昔かたらん 秋の風 」 長谷川 櫂
 
 文化祭も無事終わり、夕刻に心斎橋のホテルまで駆けつけました。
 
 前々任校の同窓会。楽しみにしていました。期待通りの楽しい会になりましたが、5時半から6時間、終電の車内でもしゃべり倒したので、今日は声も出にくく、腰は痛く、でも嬉しい余韻もずっと体内に残っています。朝風呂で酒を抜き、テニス、そして、新たに連絡がついた卒業生(48歳ですが)たちとメールなどしているうちに日が暮れる。
 
 夕刻、下の息子が、嫁さんとやってくる。卓上てんぷら上げ器で野菜をあげつつビール。帰りに弟が甥にと送ってくれた四国の米をはじめ、冷蔵庫の中のもの、晩御飯の残りから、買い置きの飲料水まで見事に持って帰る(苦笑)。それを嬉しいと感じるこちらのマゾ的心理(笑)。これって、代々親子に流れて伝ってゆく連鎖なのですね。
 
 同窓会の話は、また改めて書きます。
 
 最近知ったこと  塩野七生さん「イタリアからの手紙」より
 
 映画などのよく見るシチリアの荒涼たる山々。しかし17世紀までは緑豊かな島だったそうです。
 
 「これは、古代ギリシア植民地時代から、ローマ、アラブ、ノルマンと続く支配下でも、少しもも変わらなかったことは、当時の文学や歴史を読めばなるほどと思う。それが丸裸にされたのは、スペイン支配下時代、例の無敵艦隊を造るのに、スペイン本国は、シチリア島の森林を切り倒して使ってからである。その後も、森林事業に努めるには、政治が悪すぎた。だから、いったん雨が降ると洪水を起こし、雨が降らないと水キキンになる現状だ。私にいわせれば、シチリアがカナダみないになったらがっかりだ、となるが、彼らにとっては、それこそが夢なのかもしれない。」
 
 ギリシアも昔は緑の国だったのだそうです。そして、人手や資金がなくて間伐できない四国の山の杉やヒノキは、もう使いようがない状態で、緑なのに死の山になりつつあります。日本の国土もどうなるのだろう。
 
 
2011年11月11
 
  1の並ぶ日でした。いろんな記念日で、「ポッキー」を何人かから頂きましたが、「鮭の日」でもあったのだ。確かに十一の字が二つ入っています。それに、「立ち飲みの日」であるというのもうれしい。ちなみに、私の誕生日は「すき焼きを愛する日」だとか。
 
 一日会見を伸ばして、熟慮したとおっしゃるのですが・・・。TPP参加表明した上で「美しい農村を断固として守る」という言葉が、白々しく響きました。守るべき農村が、今も次々消えてゆきつつあります。
 
 読売ジャイアンツ、やっと球団内部から渡辺会長への造反の動き。よーし、がんばれ。今後の展開によっては、読売新聞の購読を止めようと思っています。
 
 明日、文化祭。今日は出勤日ではありません。でも、気になって、腰痛であまり役に立ちませんが、前日準備を見にゆく。若いスタッフががんばってくれています。ありがたい。雨も上がってきました。
 
 そして、明日の夜は前々任校の担当した学年の同窓会。何か月も前から幹事たちが準備を進め、今はインターネットで出欠、出席状況、掲示板で各人の情報交換と上手に企画を盛り上げてゆきます。
 
 文字通り世界に散らばった五百人余が連絡を取り合い、二百人を超す人が集まってくる。わくわくします。そして、もちろん人生模様の綾も。
 
 同窓会専用の掲示板が興味深い。
 
 急に出席できるようになった。急病で行けない。だれそれに連絡しています、手術を延期してもらって参加します・・・。
 
 ある(元)女生徒から
 
 「事故で顔にけがをしたので出席を迷っています」(その気持ち、わかります!ところが・・・)
 「あんたはそのカテゴリーではないやろ? 」(すごい突っ込み)
 「そうでした。参加します。」
 
 胸が熱くなるようなやりとりが連日続き、もう、参加した気分。懐かしい顔が浮かびます。30年ぶりの再会。楽しみです。
 
最近印象に残った言葉
 
田辺聖子さん
 
「神サンは人の寝首をかく」
 
ひねくれもんの神サンには収賄も抗議も通じない。人は「まあ、こんなトコやな」とつぶやくことである。
 
神サンには人間も諦観とユーモアをもって対応するしかないとおっしゃる。納得。
 
 
2011年11月10
 
 
 
「国安く 冬ぬくかれと 願ふのみ」 虚子
 
 戦前の句ですが、今の日本にそのまま通用します。

 「 内視鏡の先駆として、数えきれぬ人命を救ってきた開発陣が気の毒でならない。誇り高き光学企業が、技術でなく不正経理でつまずく不条理 」と天声人語子。オリンパスという社名は、高千穂(製作所)―高天原―神の座―オリンポスから来ているということを初めて知りました。

富士ゼロックスの妙に気になるコマーシャル。受けない大道芸人の若者が、地面に置いたキーボードにボールを当てて演奏して喝采を浴びる・・・。実際に演奏しているのだそうですが、演者はオーウェン・レイノルズさん。ガンディーニジャグリングというサーカス団に属しているのだそうです。撮影地はスペインのマジョルカ島。

決断できない首相。いや、発表のタイミングを計って作戦を練り直しているいるだけ?

タイミングを失するのでは?思えば、失言、追及、揚げ足取りを怖れる余り、ここんとこずっと政府が萎縮して、動けないでいる感があります。

本来なら、首相になってすぐに、被災地と沖縄を訪れるべきだったと思うのですが・・・その腰の重さが気になります。せめて得意の弁舌を活かしてほしいけれど・・・。ま、前の二人が悪すぎたのでしょうが。

この秋、菊一本から花4351輪。世界記録だそうです。熊谷市の野村さん。数えるほうも6人がかりで大変。

最近読んだ本

「 瘋癲の果てさくら昇天」 団 鬼六

 70代になって、キャパクラで出会った美しい娘(実の娘よりはるかに若い)に傾斜し、奥さん公認の「愛人」として連れ歩き、マンションを買い与え、着物を着せ・・・実話というのがすごいし、しかも二人の間に肉体関係はない。

そのことが微妙な齟齬を生んで、その娘さくらは睡眠薬に溺れ、衝動的に自殺してしまい、「私」は悶え悲しむ。

川端康成にも通じる老人の若さ、美しさへの妄執、あがきは、無様で見苦しい。しかし、文章は透明感にあふれて美しい。

 

2011年11月9日
 
「 今日行くと 言えば朝から待っている 施設の義母は 指輪もはめて 」
 
 朝日歌壇から  舟橋市 田中さん
 
 今まで指輪などに興味を示さなかった母が、最近、ぽつりとほしいと言いました。施設でみなさんが競うようにして嵌めてはるのだそうです。
今回の帰省で、嫁ハンが持たせてくれた、手作りのビーズの指輪を3つ渡すと、急いではめて、施設の職員の方や、入所しておられる片から褒められ冷やかされて、喜んでいました。
 
 そんな母の気持ち、施設の人々の様子に気付かなかった自分を恥じました。もっと、衣装などにも気遣ってやらなければと思いました。美容院に連れて行って、安心していたらあきません。
 
 血液一滴で癌が早期発見できる、画期的な発見。島津製作所、田中耕一さんの動きに注目です。もっと早く発見、実用化されていれば、友人は助かったかも、などと思いますが、せんないこと。もともと、検査や医者がきらいなヤツでした。
 
 でも、彼は講師登録の為の3月の検査で異常なし。6月の検査で、もう末期。検査のタイミングの難しさを思います。怪しいと思ったら、即、検査することが大事なのでしょうか、いや、もうこれは運命というしかないような気もします。
 
 こちらが申し込んで無理やり受けさせた嫁ハンの乳癌検診。痛かったとかほざいてましたが、とりあえず、異常なしとのことでひと安心。最終結果通知が届くのは3か月後だそうです。
 
 最近読んだ本
 
「 xie シェ 」 浅田 次郎
 
 漢字ではケモノ偏に「解」です。人の不幸の涙を吸って生きる、不思議な動物。身寄りもなく、愛犬リンを喪って呆然自失の鈴子は、リンを葬った帰り道のペットショップでシェに出会う。
 
 押し付けられる形でシェを部屋に連れ帰った鈴は、シェの力によって、付きまとうヒモのような男と別れ、親身で心配してくれていた隣室の保育士の兄ちゃんと結ばれる予感。数千年を生きてきたシェは安心して死んでゆく・・・。
 
 例の浅田さん独特のあざといほどの独白体で、読ませますが、後味はイマイチ。
 
 
 
2011年11月7日
 
「 柿食うや 命あまさず 生きよの語 」  石田 波郷
 
 4日に亡くなった友人の通夜にも告別式にも出ていないので、イマイチ実感が湧かず、茫然としていて、いつ、どこで感情が爆発するのか、と不安な日々。
今日あたり家族葬も一段落かと、電話。故人のお姉さんが今日、東京に帰って、今夜から家にひとりです、と奥さん。一人娘は嫁いで堺にいます。
 
 改めて最期の様子など訊く。家で訪問看護を受け、薬も作用して、あまり苦しまず、安らかに逝ったとのこと。その点はよかったです。娘さんもメールで「これでお父さん、楽になりました」と書き送ってきました。
 
 死ぬ一週間くらい前から、幻覚が現れ始め、突然、ジーパンを持って来い、と叫ぶ。何かと問うと、私が玄関に来たから、服を着替えるんだと言い張る。上がってもらえ!と叫ぶ。来てはらへん、と云ってもきかない・・・。そして、ふっとおとなしくなる・・・。
 
 病み衰えた姿は見せたくないと、なかなか会おうとしなかったくせに・・・。話を聞きながら、もう少しで爆発するところでした。
 
 ほとんどの人に病気も死も知らせてもいないので、報告とお別れの会をしたいから幹事をしてほしいという話。断ることはできません。
 
最近印象に残った言葉
 
田辺聖子さん  「苦労は逃げえ」
 
「若いうちの苦労は買うてでもせえ」とか「苦労は人間を大成させる」だのは言わない。
 
「劣化世代の人間としては、よくできた<苦労人>も見たが、苦労で人間が押しつぶされ、偏屈になり、片意地になり、ねじけてしまった人間も見た。そんな奴が放つ害毒のエーテルと、苦労知らずの甘ちゃんが無邪気にふりまくもの知らずの悪、どちらが世の中に有害かと言えば、前者だと思う。世の中や人間のうらおもてを見知っての意地悪は、タチが悪くてえげつない。トータルして、<苦労>はあまり人間にいいものを与えないようだ」
 
共感します。苦労を売りもんにして意地悪するえげつない奴、確かにおるわ、おったわ、と思いますが、苦労から逃げるときに人に押し付けてはいけませんよね。
 
 
 
2011年11月6日
 
「 あるほどの 菊なげ入れよ 棺の中 」   漱石
 
最近のニュースから
 
 韓国誌「週刊朝鮮」が入手した17歳以上の平壌市民約210万人の住民情報の中に日本人拉致被害者、横田めぐみさん(行方不明時13歳)と生年月日や家族の名前が一致する女性がいることが5日、分かった。めぐみさんとは血液型や、北朝鮮が公表した朝鮮名などが違うが、夫や娘とされる人物の名前が合致しており、週刊朝鮮は「めぐみさんではないか」として21日発売号に記事を掲載する。(毎日新聞)
 
 罪もない親子をこれだけ苦しめる隣国になにもできないこの国。歯がゆく、恥ずかしく、情けない。
 
 先日、横田めぐみさんのお嬢さんが結婚との報も流れました。その時のおじいちゃんの「お祝いをして差し上げたいが・・・」という敬語を使ったコメントに胸がつまりました。「祝ってやりたいが」と言えないその辛さ。
 
 台風12号の豪雨で大きな土砂崩れに遭った和歌山県田辺市の奥番地区(7世帯10人)が5日、自治会の解散式を開いた。(読売新聞)
 
 唯一の犠牲者(転落死らしいー86才の女性)が土砂崩れの直前にあり、全員がその収容の為、外に出ていて、土砂崩れに巻き込まれずに済んだというのがなんとも言えないめぐり合わせ。芋煮をして、氏神さんに玉串をささげて、集落を後にする人々・・・。他人事ではありません。
 
 セ・パ共にクライマックスシリーズは緊迫したいい試合になりました。特に、ソフトバンクと西武の試合、どちらの党首、マチガイ投手も撃たれて涙。今回はその悔し涙ー心意気をよしとします。
 
 テニスの錦織くん、スイスの大会でジョコビッチを破る。これはすごい。なんせ相手は、今年になってから全試合で3敗しかしていない堂々の世界ランキング1位なのです。
 
最近印象に残った言葉
 
阿部夏丸さん
 
息子の部屋でヌード写真を見つけて憤慨する母親に対し、心の中で
 
「汚れて、汚れて、立派な大人になってゆくんだ」
 
息子に
 
「父親のようになりたい子供なんて、気持ちが悪いぜ」
 
確かに。
 
水木しげるさん
 
「自殺する人は、それが幸せだと思って死ぬのです。止める必要はないんじゃないですか」
 
 よく言われる論です。「幸せと思って死ぬ」のかどうかはわかりませんが・・・毎年3万人も自殺するというのはどうなのかな?巻き添えで亡くなった人や、死刑になりたいから人を殺す(これも自殺の一種?)なんて事件もありましたね。
 
 下の息子が交番にいた時にも、死にきれないから殺してくれ、と包丁を振り回しながら血だらけで駆け込んでくる事件などあったようです。道頓堀に投身した人(阪神ファンではない)も。どちらも巻き添えになった警官共々入院する破目に・・・。
 
 
 
 

2011年11月5日
 
「 おい癌め 酌み交わそうぜ 秋の酒 」 江國 滋
 
 
 昨日亡くなった友人は、家族葬で見送るというので、白い花を送りました。39年間の交誼に感謝あるのみです。
 
 ちなみに、気を入れて、きれいな花籠を作ってくれた駅前の花屋の奥さんは、テニス仲間で、女優さんでもあります。朝のドラマ「カーネーション」に出演しているのだそうですが、なかなか見つけられない。
 
 現任校を準会場として、漢字検定試験、一名欠席がありましたが、監督も無事終了。答案も送付してほっとしました。ぐったりして、家で横になっていると、元同僚から、お誘い。古市駅前で日本酒を少しだけいただく。心に沁みました。
 
 
 最近読んだ本
 
「 植物園 」 トーベ・ヤンソン
 
 年老いて、植物園で日を過ごす老人二人。ひとりは親戚と同居、もうひとりは老人施設から。ひとつのベンチを取り合ったことから、交流が生まれる。北欧の老人も、日本の孤老も同じような思いを抱いて老いの日々を過ごしているのだ。プライドを失わず、生きることの大切さ、難しさ。
 
 最近見たドラマ
 
「 ショート・カット」 
 
 三谷幸喜さんの意欲的なテレビドラマ。すべてワンシーンワンカットというすごいチャレンジですが、信州?の山中での撮影、どれほどの苦労があったのでしょう。アイデアは面白い。それに応えたキャスト、鈴木京香、中井貴一の熱演も見ごたえありましたが、山道を下る2時間で一気に熟年夫婦の復縁の過程を描くという脚本に無理がありました。
 
最近印象に残った言葉
 
山田詠美さんのエッセイから
 
「 一流大学を出たとか、車がなんだとかいうようなことを自分の人間性のひとつに数えて自己主張するひとがいるのは、東京もニューヨークも変わりがないようで、私を時々、不愉快にさせる。一所懸命に働いていれば、職業なんかに貴賎はないのにね。でも、人にはある。恋人の大学や車なんて自慢する女なんて、私には、とっても賤しく感じられる 」
 
 
2011年11月4日
 
 今秋、大徳寺、蓑庵(さあん)で特別に許可され行われたという茶会。主客3人だけだが、風雅を凝らした会だったようです。茶道は門外漢の私、さまざまな道具、しつらへに、へーと思いつつ感嘆するのみですが、興味ある主菓子は、末富製「一過(いっか)」。黄緑の練餡で上部が黄色、風に靡いたような作りになって、いかにも野分の後の風情。器は宗入作の薄茶色の香炉釉銘々皿も美しい。雑誌を眺めつつ、ため息をつきました。
 
 ここまでは朝、書きました。
 
 「 とほつよの みくらいできて くるるひを まつのこぬれに うちあふぐかな 」 会津 八一
 
 八一は1925年、長年の希望が叶って、やっと倉に入れてもらい、懐中電灯でわずかな品物を拝見、それでも、充実感と喜びを持って倉を出て、夕暮れの空を仰ぎます。
 
 それから86年、LED照明も導入された恵まれた環境で、第63回正倉院展を拝見。平日の午後ということもあって、10分ほどで入場。
 
 話題の伎楽面、蘭奢待、碧地金銀絵箱、特に金銀鈿荘唐太刀(きんぎんでんそうのからたち)は、そこだけで30分待ちという人気でした。私は、特に、古代の布の色の織と色の美しさ、文書の記述、経文の美しさに惹かれました。
 
 正倉院グッズを土産に買って、外のテントで奈良の地酒「春鹿」を頂いて、松の枝越しの美しい秋の夕空を眺めながら、肺癌闘病中の友人も毎年見に来ていたなあ、お互い見た感想を言い合っていたなあと、感慨にふけっておりました。
 
 その時間に、友人は自宅で静かに息を引き取っていたのです。
 
 
2011年11月3日
 
「 あたたかな 案山子(かかし)を抱いて 捨てにゆく 」  内藤 吐天
 
 稲が刈り取られた後の棚田。秋の陽に温められて暖かい案山子は、役目を終えて、どこへ捨てられるのでしょう。あの案山子は誰なのだろう。
 
 昨夜の「相棒」はがっかり。以前の岸惠子さん登場の回がよかったので、久々の三田佳子さんに期待したのですが、見どころは10数着の(それも夏の!)きれいな和服のみ。ヒロインが誤解からくる失意の中で自殺する結末もイマイチで、後味がよくない。子供のころから憧れてきた美女の容色の衰えもさびしかったです。
 
 朝のNHKの、佐渡裕とさだまさしのコンサート、オーケストラをバックに二人で歌う「案山子」を聴いて涙。離れて暮らす子供を気遣う親の気持ちは同じです。
 
 
昔は息子の立場で聴き、そして親の立場で、そして今また、息子の立場で聴いている・・・。40数年前に都会に出してくれた親のありがたさに今、改めて感謝しています。
 
 晴れの特異日の文化の日でしたが、日中は曇り、夕方、やっときれいな茜雲が見えました。
 
 友人と市民会館のカフェのテラスでアフターヌーンティのはずが、メニューにあった「ビール(中国)」(400円)に惹かれ、紅茶を撤回、注文してしまいました。運ばれてきたのはアサヒビール。あれ?よく見たら「ビール(中瓶)」でした。こんなマチガイはしょっちゅうです。
 
 海外の短編を読む講座を担当していますが、この季節、満を持してのミステリー、クリスティの「火曜クラブ」を「火曜ナイトクラブ」と打って、印刷してしまいました。このマチガイも恥ずかしい(苦笑)。
 
 今朝の番組で、キャスターが「嗅覚(きゅうかく」を「しゅうかく」と言い、歌のテロップに「満点の星」(満天ですね)とありましたが、最近、特に、ひとのマチガイを笑えません(苦笑)。
 
 漢字で思い出した昨日の話。
今年度の漢字検定第2回が週末に迫ってきて、ちょっと講習などしています。
 
センセー、部首が全然わかりません!
そうやなあ、部首の問題はむつかしいねえ。たとえば、「問」「聞」「開」の部首は何?
全部、門やろ?
そう思うよね。でも、3つとも違うねん。この字の中で、どの部分がポイントか、考えてみよう。
そうか!「口」と「耳」と「門」やねんなあ。
センセー、「恥」は?
恥ずかしいと思うのは、耳?心?
「心」や!
ピンポーン。では「窒」は?
うーん、ウ冠?
窒息しそうになるのは、どこでや ?
あ、「穴」か!
 
15人が準2級から8級に挑戦しますが、 さて、結果は如何。
 
 TPP(環太平洋経済連携協定)参加問題にも、ひとこと言わずにおられなくなりました。
 経済協定で一歩先を行っている韓国の例をみても明らかですが、確かに当面は経済効果が上がるでしょう。でも、それは一時、せいぜい10年、20年のこと。農業や漁業を切り捨てて、本当に日本の未来はあるのでしょうか?
 
 国土が狭く、資源のない国だから、工業製品の輸出で生きてゆくしかないのか。確かにすぐれた車や先端技術もいいけれど、日本には蓄積された豊かな農業、漁業の技術と、恵まれた気候、土地、漁場があります。それなのに、無策によって、いや、切り捨て政策によって、休耕田は増え続け、後継者は減り続けています。
 
 今なら間に合います。米を麦を野菜を作りましょう。食料自給率を引き上げるのです。大災害や国際紛争にもそれで備えるのです。フランスは60パーセントを超す自給率、日本の3倍です。飢餓にあえぐ国の食料を札束でかっさらってきて、生ゴミをいっぱい出すような今の日本の繁栄はニセモノです。
 
 原発の見直しと共に、これからの国の在り方を見直す年にしなければ、2011年はこれだけの犠牲を払って、さらに大きな悔いを残す年になるのではないでしょうか。大阪の選挙も心配です。
 
 
 最近のニュースから 
 
 国立天文台などの研究チームは1日、くじら座方向に約118億光年離れた宇宙で、1年に数千個のペースで星を生み出す「モンスター銀河」より10倍以上明るい「超モンスター銀河」を発見したと発表した。モンスター銀河の頂点に立つとして、日本神話に登場する「ヤマタノオロチ」にちなみ「オロチ」と命名された。
 
 
 研究チームは、赤外線より波長がやや長いサブミリ波を観測する望遠鏡「ASTE(アステ)」を使い、オロチを発見。詳細に調べた結果、地球とオロチの間にある別の巨大銀河の重力の影響でオロチの電波は実際よりも強くなり、明るく見えていることが分かった。この巨大銀河は地球から約90億光年の距離という。 
 
 
 
 
 
 
 90億光年・・・気の遠くなるような、壮大な話。それに比べて人の世の儚さ。
 
 最近印象に残った文章
 
 
山田詠美さんのエッセイから
 
 あちこち旅行しまくるぽんちゃん(山田さん)、佐世保のディスコ(今はクラブですね)で夜遊びしている時の話
 
 「基地の周辺って、やっぱり俗悪で素敵。ディスコのトイレで田舎のつっぱりあがりみたいな女の子ににらまれたりするのも楽しい。もう、こっちは、そういう娘を相手にする年齢でもないので、にっこり笑い返してあげると、どぎまぎして視線をそらせてしまうの。可愛いったらありゃしない。私にガン飛ばすなんて10年早いんだよ、このガキが。あ、やーね、お下品。私って直木賞作家でしたわね。」
 
 赤坂の「ムゲン」(懐かしい!踊りに行ったことがあります)から、横須賀、福生、沖縄、ニューヨーク・・・クラブ遊びの年季と質で、ぽんちゃんに敵う女性はあまりおりますまい(笑)。
 




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