『旅路』(たびじ、原題:Separate Tables) 原題が好きでした。
テレンス・ラティガンの1954年初演の舞台劇『銘々のテーブル(Separate Tables
舞台の影響で、テレビ放映されたのでしょう。いわゆる「グランドホテル形式」の人間ドラマ。すべてセット撮影で、白黒の画面が重厚な演技、衣装を際立たせる。
とにかく豪華な俳優陣。胡散臭い退役将校を演じたデヴィッド・ニーヴンがアカデミー主演男優賞、控えめで誠実な女支配人のウェンディ・ヒラーが同、助演女優賞を受賞。
美女デボラ・カーが美しくない若い女性を熱演、どうして賞を獲れなかったのだろう?
リタ・ヘイワーズが盛りを過ぎた妖艶な美女を演じて圧巻。
ちらっと出る若い学生役に、後の名優ロッド・スタイガー。
ほとんどのキャスト、スタッフが物故者であるのは当然ですが、時の流れを感じます。
これはバート・ランカスターの独立プロで作られた作品。彼の眼が確かです。
オリジナルの舞台は、最初、ローレンス・オリビエとビビアン・リーで企画されたのだそうです。それもすごい。
退役将校には痴漢癖があった。その事件をきっかけに、過去、経歴詐称が明らかになり、ホテル内で孤立してゆく・・・。
切ない人生ドラマですが、その人間模様より、白熱の演技合戦に見入ってしまいました。
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